【表紙買いはなぜ難しい?】エロマンガ買いで出来るだけ失敗しないための処方箋 おまけ2

前エントリが予想を遙かに上回る方向でご好評いただけた……のかな? 内容に関する評価はあまり見かけないのでどう受け取られたのかはよくわかりませんがともかく沢山アクセス戴きましたので調子に乗って追加エントリを。表題通り「表紙買いの難しさ」についてのお話。特に説明は要らないと思いますが、要するに「表紙がピンと来たから買ってみたのに中身が期待はずれだった」という事象について、何がリスクとして存在するかというのを私なりに。

表紙と中身の印象が違う

表紙の絵はよかったのに中身が今ひとつに感じられたという場合です。
まず根本的に漫画を描く技能とイラストを描く技能は別のものだということは念頭に置くべきです。イラストが上手い人=漫画が上手い人は常に真ではありません。そしてカラーイラストとモノクロイラストの印象も常にイコールではありません。カラーが上手いこと=モノクロが上手い人も常に真ではありません。あと、単行本の場合「表紙のイラストが収録作品中もっとも最後に描かれている」ことが大半であることも考慮すべきでしょう。絵柄の変化はよくあることです。収録されている作品が表紙の絵柄と同じものとは限りません。

また最近はごく普通となったCG着色も新たな問題を孕みます。出来上がりの見栄え等の問題により、現在発行されているエロ漫画の表紙の大半でCG着色が行われていますが、少なくない数が「外注」されています。漫画家本人でなく、専門のCGクリエーターが塗りだけ担当しているわけです。漫画家自体がCGに不慣れだったり、制作環境が無かったりと色々な状況がありますので、外注そのものを否定するつもりはありません。しかし、これは結果的に「漫画家本人の技量やタッチとは直接結びつかないものが出来上がる」という可能性も持ちます。原画の良さを上手く生かして着色するのがCG担当さんのひとつの技量の見せ所だとは思いますが、ややCG担当さんががんばりすぎて原画とは別物化していると感じるものもあります。CG塗りはかつてのアナログな着色法よりもここの危険性は高いのです。
カラーが苦手なため表紙で損をしている漫画家さんに対する救済ともなってはいる*1わけですが、第三者の技量の介在してる可能性は考慮すべきです。
他にも表紙にはデザイナーさんの技量なども絡んでいる場合もあります。

表紙に出てるキャラクターが中身に居ない

言葉通りの状況です。表紙のキャラクターが気に入ったから買ったのに、中身には出てこなかった!!という稀に見かける意見です。これは一般漫画ではあまり無いのではないでしょうかね。読み手は中身の内容が表紙にも反映されていると考えがちだと思うのですが、実はそんな保証はどこにもないのです。こればかりは作り手側が単行本の表紙というものをどのように考えているかによります。そういうものなのだということを認識しておいた方が無難です。丸々1つの長編な単行本でやられたら…それはさすがに怒っていいと思いますけどね(笑

まとめ

例にあげたように表紙から得られる情報が中身を評価するに足るものかどうかには常に疑問がつきまとうわけです。だから表紙買いは難しい。
表紙買いと一口に言っても、実際自分がその表紙の中の何に惹かれたのかについては気をつけたほうが良いわけです。キャラクターだったのか色遣いだったのか雰囲気だったのかなどなどです。実は自分が惹かれた、ピンときた、インスピレーションを感じたものは漫画と直接関係のないものだったのかもしれません。
よって「出来るだけ失敗しないための処方箋」という観点からいえば表紙買いはしないことをオススメします:D

されどもっと表紙買いするっ!!

表紙買いは一種のギャンブルです。対価を期待しながら自分の信じたものにお金を出してるわけですしね。当たったときの喜びというのは私にもわかります。ですので表紙買いを否定することは私には出来ません。ですがそれは自らリスクを背負ったのだということだけは忘れないようにしてもらいたいというのが個人的な希望です。表紙買いの失敗を嘆くのは個々人の自由ですが、必要以上に嘆くのは無粋というものです。

*1:10年前は存在した技術的にどうにもフォローの難しい酷い表紙といのはここ数年見かけません